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地学基礎④:地震とその分布

怖がるちさまる ちさまる

日本に住んでいると、地震は避けて通れないよね。でも、どうして突然地面が揺れるんだろう?
「震度」と「マグニチュード」の違いや、緊急地震速報がどうして揺れる前に届くのか、入試でよく出る計算問題も含めて、地震のメカニズムをしっかり理解しよう! PON!

1. 地震発生の仕組み(断層運動と弾性反発説)

地下の岩石には、プレートの運動などによって常に巨大な力が加わっています。岩石は最初はゴムのように少しずつ変形(ひずみ)して耐えますが、やがて限界に達すると、弱い部分がバキッと破壊されてズレ動きます。これが断層運動です。
このとき、元に戻ろうとする力(弾性力)によって蓄積されていたエネルギーが一気に地震波として放出され、周囲に伝わって地面を揺らします。これを弾性反発説(だんせいはんぱつせつ)と呼びます。

2. 震度とマグニチュード

地震のニュースで必ず耳にする2つの言葉ですが、意味は全く異なります。

データを示すコレクト コレクトのデータ解説:Mとエネルギーの関係

① 震度(ある場所での揺れの大きさ)
観測点ごとの揺れの強さを表します。日本では気象庁震度階級が用いられ、「0, 1, 2, 3, 4, 5弱, 5強, 6弱, 6強, 7」の10階級です(震度8はありません!)。震源から遠くなるほど、また地盤が硬いほど震度は小さくなる傾向があります。

② マグニチュード [M](地震そのものの規模・エネルギー)
1つの地震につき、マグニチュードは1つだけです。地震が放出するエネルギー $E$ とマグニチュード $M$ には、以下の関係式があります。
$$ \log_{10} E = 4.8 + 1.5 M $$ この式から、共通テストで超頻出の法則が導かれます。

  • Mが 1.0 大きくなると、エネルギーは約 32倍(正確には $10^{1.5} \approx 31.6$ 倍)。
  • Mが 2.0 大きくなると、エネルギーはぴったり 1000倍($10^3$)。

(例:Mw9.0の東日本大震災は、Mw6.9の阪神・淡路大震災のエネルギーの1412倍に相当します。)

3. 本震と余震、地震波

本震と余震の傾向(共通テスト頻出)

一連の地震活動の中で、最も規模が大きな地震を本震、その前後に起こる地震をそれぞれ前震余震と呼びます。
余震の発生回数には明確な法則(改良大森公式)があり、「本震の直後が最も多く、時間が経つにつれて急激に(反比例に近い形で)減少していく」という特徴があります。グラフを選ぶ問題でよく出題されます。

地震波:P波とS波

地震波には、主に地球の内部を伝わる実体波としてP波S波の2種類があります。

名称 波の性質(振動方向) 伝わる速さ 引き起こす揺れ 伝わる物質
P波 (Primary) 進行方向と同じ(縦波) 速い (約5〜8km/s) 初期微動(最初のカタカタ) 固体・液体・気体
S波 (Secondary) 進行方向と垂直(横波) 遅い (約3〜5km/s) 主要動(後からくる大きな揺れ) 固体のみ

※P波が到着してからS波が到着するまでの時間を初期微動継続時間(PS時間)と呼びます。

4. 震源、震央の求め方(大森公式)

地震が発生した地下の1点を震源、その真上の地表の点を震央と呼びます。
震源から遠くなるほど、速いP波と遅いS波の到着時刻の差(PS時間)は長くなります。この関係を表したのが大森公式です。

公式を扱うコレクト コレクトの公式解説:大森公式

震源距離を $d$、PS時間を $t$、P波の速度を $V_p$、S波の速度を $V_s$ とすると、以下の式が成り立ちます。

$$ d = \frac{V_p \cdot V_s}{V_p - V_s} \times t $$

この式の前の分数部分をまとめて大森係数 $k$ と置くと、式は非常にシンプルになります。

$$ d = k \times t $$

つまり、震源距離は初期微動継続時間に比例するということです。この性質を利用すれば、3つ以上の観測点の震源距離を求め、地図上に円を描いて交点を求めることで、震央の位置を特定できます。

ちさまると挑戦! 震源の決定

試験に挑むちさまる ちさまる

さっそく大森公式を使って計算してみよう! 国公立大の二次試験でもよく出る、速度から大森係数を自分で求めるパターンの問題だよ!

【例題1】大森公式を用いた震源距離(国公立大 二次試験レベル)

ある地震において、観測点Aでは 10時24分15秒 にP波が到着し、10時24分25秒 にS波が到着した。この地域の地殻を伝わるP波の速度を $6.0\text{km/s}$、S波の速度を $3.0\text{km/s}$ としたとき、観測点Aから震源までの距離は何 $\text{km}$ か求めよ。

解答と解説を見る

【解答】 $60 \text{km}$

【解説】
1. 初期微動継続時間(PS時間) $t$ を求める。
  $t = \text{S波到着時刻} - \text{P波到着時刻} = 25\text{秒} - 15\text{秒} = 10\text{秒}$
2. 大森係数 $k$ を求める。
  $k = \frac{V_p \cdot V_s}{V_p - V_s} = \frac{6.0 \times 3.0}{6.0 - 3.0} = \frac{18.0}{3.0} = 6.0\text{km/s}$
3. 大森公式 $d = k \times t$ に代入する。
  $d = 6.0 \times 10 = 60\text{km}$。
※公式を忘れても、「P波が進んだ時間」と「S波が進んだ時間」の差が10秒であるという方程式($\frac{d}{3.0} - \frac{d}{6.0} = 10$)を立てれば簡単に解けます。

5. 緊急地震速報の仕組み

テレビやスマートフォンで鳴り響く緊急地震速報は、地震の発生を「予知」しているわけではありません。
地震が発生すると、速いP波と遅いS波が同時に発生します。震源に最も近い地震計が、先に到達した「P波」を検知して即座に解析を行い、大きな揺れである「S波」が到達する前に、遠くの地域へ電気信号(電波)で警告を出すシステムです。(電波の伝わる速さは光と同じ約30万km/sなので、地震波より圧倒的に速いのです)。

ちさまると挑戦! 新幹線に乗ってるときに緊急地震速報?!

慌てるちさまる ちさまる

わわっ! スマホが鳴った! これから大きな揺れが来るまでに、あと何秒猶予があるんだろう!? 共通テストで頻出の「猶予時間の計算」に挑戦してみよう!

【例題2】緊急地震速報の猶予時間(2024年 共通テスト類題)

ある地域で地震が発生した。震源から $28\text{km}$ 離れた観測点にP波が到着したと同時に、緊急地震速報が発信された。このとき、震源から $140\text{km}$ 離れた場所を走行中の新幹線がこの速報を受信してから、主要動(S波)が到達するまでの「猶予時間」は何秒か。ただし、P波の速度を $7.0\text{km/s}$、S波の速度を $4.0\text{km/s}$ とし、情報の処理や伝達にかかる時間は無視できるものとする。

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【解答】 $31\text{秒}$

【解説】
この問題は、「地震が発生した瞬間」を $0\text{秒}$ として、それぞれのイベントが何秒後に起きるかをタイムラインで整理するのがコツです。
1. 速報が発信された時刻:
  地震発生から、P波が $28\text{km}$ 先の観測点に到達するまでの時間。
  $28\text{km} \div 7.0\text{km/s} = 4\text{秒}$。
  つまり、地震発生から $4\text{秒後}$ に速報が出ました。
2. 新幹線にS波が到達する時刻:
  地震発生から、S波が $140\text{km}$ 先の新幹線に到達するまでの時間。
  $140\text{km} \div 4.0\text{km/s} = 35\text{秒}$。
  つまり、地震発生から $35\text{秒後}$ に大きな揺れが来ます。
3. 猶予時間:
  新幹線が速報を受け取った(4秒後)から、揺れが来る(35秒後)までの差。
  $35\text{秒} - 4\text{秒} = \mathbf{31\text{秒}}$。
(※このように、震源から遠いほど猶予時間は長くなりますが、震源に近すぎる地域(直下型地震など)では、速報が揺れに間に合わないという限界があります。)

【例題3】地震発生時刻の逆算(2026年 共通テスト類題)

ある地震において、観測地点AではP波が 0時31分32秒 に、S波が 0時31分38秒 に到着した。一方、観測地点BではP波が 0時31分28秒 に、S波が 0時31分31秒 に到着した。
この地震が発生した時刻として最も適当なものを求めよ。ただし、地下の地震波の速度はどこでも一定であるとする。

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【解答】 0時31分24秒

【解説】
2026年共通テストで出題された、大森公式(初期微動継続時間は震源距離に比例する)を用いた思考問題です。
1. 初期微動継続時間(PS時間)の確認:
 地点AのPS時間 = 38秒 - 32秒 = 6秒
 地点BのPS時間 = 31秒 - 28秒 = 3秒
2. 震源距離の比を出す:
 PS時間が「地点Bは地点Aの半分(3秒と6秒)」なので、震源から地点Bまでの距離は、震源から地点Aまでの距離のちょうど半分(1 : 2)です。
3. P波の伝わる時間から逆算:
 地点BにP波が着いたのが「28秒」、地点Aが「32秒」なので、P波は地点Bから地点Aまで進むのに4秒かかっています。
 距離が半分(1 : 2)ということは、「震源〜B」の距離と「B〜A」の距離は同じです。したがって、地震が発生した震源から地点Bまで行くのにも、同じく4秒かかったことになります。
4. 発生時刻の特定:
 地点BにP波が着いた「0時31分28秒」の、さらに4秒前に地震が発生したことになります。
 よって、28秒 - 4秒 = 0時31分24秒 となります。

6. 地震の発生場所と分布

地震はどこでも適当に起きているわけではなく、プレートの運動に伴って特定の場所に集中して発生します。大きく3つのタイプに分けられます。

地震を監視するコレクト コレクトの防災解析:3つの地震タイプ

① プレート間地震(海溝型地震)
沈み込む海洋プレートと、それに引きずり込まれた大陸プレートの境界(海溝付近)で発生します。マグニチュード8〜9クラスの巨大地震になりやすく、広範囲に激しい揺れと大津波を引き起こします。(例:東日本大震災、南海トラフ地震)

② スラブ内地震(深発地震)
沈み込んでいく海洋プレート(スラブ)の内部が、強い圧力によって割れることで発生します。震源が深いのが特徴で、和達・ベニオフ帯に沿って分布します。

③ 内陸地殻内地震(活断層型・直下型地震)
プレートの押し合いによって陸側のプレート(大陸地殻)の内部にひずみがたまり、浅い場所の古い傷(活断層)がズレ動く地震です。マグニチュードは7クラスが多いですが、震源が浅く、私たちの足元で起こるため、局所的に甚大な被害(震度7など)をもたらします。(例:阪神・淡路大震災、熊本地震、能登半島地震)

7. プレート間地震と地殻変動(津波の発生メカニズム)

プレート間地震(海溝型地震)の前後では、陸側の地形が大きく変動します。このサイクルは入試で頻出です。

マルを出すちさまる ちさまるの総仕上げ! 練習問題

地震の計算から地殻変動まで、総合的な理解をチェックするよ!

問1(選択・基本)
地震に関する記述として、最も適当なものを1つ選べ。

  1. マグニチュードが2.0大きくなると、地震のエネルギーは約64倍になる。
  2. 余震の発生回数は、本震発生から数日間は少なく、その後急激に増加する。
  3. 日本の震度階級は、震度0から震度7までの10階級で表される。
  4. S波は縦波であり、固体・液体・気体のすべてを伝わることができる。

問2(正誤判定・標準)
次の文章の正誤を判定せよ。
「南海トラフのような沈み込み帯の海溝側にある陸地は、地震が発生していない平常時には徐々に隆起しており、巨大なプレート間地震が発生した瞬間に急激に沈降する。」

問3(記述・発展)
緊急地震速報は、震源に近い観測点でP波を検知して発表されるが、震源に非常に近い地域(直下型地震など)では「速報が強い揺れに間に合わない」という技術的な限界がある。その理由を、P波とS波の性質に触れながら60字程度で説明せよ。

練習問題の解答と解説

問1:iii
【解説】
i:Mが1.0増えると約32倍、2.0増えると「1000倍」です。
ii:余震は「本震直後が最も多く、次第に減少」します。
iii:正しい記述です(0, 1, 2, 3, 4, 5弱, 5強, 6弱, 6強, 7 の10階級)。
iv:S波は「横波」であり、「固体のみ」を伝わります。

問2:誤り
【解説】地殻変動の方向が「逆」です。平常時は海洋プレートに引きずり込まれるため「沈降」し、地震発生時に跳ね上がるため「隆起」します。

問3:解答例
震源に近い地域では、速いP波が到達してから、強い揺れをもたらす遅いS波が到達するまでの時間差(PS時間)が極端に短いため。(61字)
【解説】緊急地震速報は「P波とS波の速度の差」を利用したシステムです。震源距離が近いと、P波とS波がほぼ同時に到達してしまうため、観測・処理・通信のわずかな時間ロスでも、S波の到着に間に合わなくなってしまいます。