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地学基礎⑩:化石と地質年代

地学を学ぶちさまる ちさまる

恐竜の骨やアンモナイトの殻! 化石ってロマンがあるよね。
でも地学において、化石はただのコレクションじゃなくて、その地層が「いつの時代か」「どんな環境だったか」を教えてくれるタイムカプセルなんだ。
今回は化石や火山灰を手がかりに、離れた場所の地層を繋ぎ合わせる「地層の対比」に挑戦するよ。共通テストのひっかけ問題(トラップ)を見破る論理的思考力も鍛えよう! PON!

1. 化石(示相化石と示準化石)

過去の生物の遺骸や生活の痕跡(足跡や巣穴など)が地層の中に残されたものを化石と呼びます。化石には、その役割によって大きく2つの種類があり、それぞれの「適した条件」がよく入試で問われます。

分類 教えてくれること 適した生物の条件 代表的な化石
示相化石
(しそう)
堆積当時の環境
(気候、水深など)
特定の限られた環境でしか生きられないが、生存期間が長い(現在も生きている)こと。 ・サンゴ(暖かく浅い、きれいな海)
・シジミ(淡水と海水が混ざる河口)
・ブナの葉(やや寒冷な気候)
示準化石
(しじゅん)
地層ができた時代
(地質年代)
広い範囲(世界中)に分布し、個体数が多いが、生存期間が短い(すぐ絶滅した)こと。 ・三葉虫、フズリナ(古生代)
・アンモナイト、恐竜(中生代)
・ビカリア、マンモス(新生代)

2. 地層の対比と「鍵層(かぎそう)」

離れた2つの場所にある地層が、「同じ時代に堆積したものかどうか」を比較して結びつける作業を地層の対比と呼びます。
このとき、対比の確実な目印となる特徴的な地層を鍵層(かぎそう)といいます。鍵層として最も優れているのは火山灰層(凝灰岩)です。なぜなら、大規模な火山噴火は地質学的には「一瞬」の出来事であり、広範囲に同時に降り積もるため、離れた場所でも「全く同じ時刻」を示す基準になるからです。

ちさまると挑戦! 地層の観察(ボーリング柱状図の罠)

集中するちさまる ちさまる

ここ数年の共通テスト地学基礎は、「知識を丸暗記しているか」ではなく、「データから論理的に推論できるか」を強く求めてくるんだ。
特に2024年の本試験で受験生を悩ませた「柱状図の読み取りと、侵食の前提条件」の思考問題に挑戦してみよう!

【例題1】地層の対比と思考力(共通テスト 難化傾向)

数km離れた地点Aと地点Bでボーリング調査を行い、得られた柱状図を比較したところ、両方の地点で標高の異なる位置に「火山灰層」が1枚ずつ見つかった。
この火山灰層について述べた以下の文(ア)と(イ)の正誤の組み合わせとして、正しいものを1つ選べ。

(ア)地点Aと地点Bの火山灰を顕微鏡で観察したところ、どちらにも「石英」と「斜長石」が含まれていた。共通の鉱物が含まれているため、この2つの火山灰層は間違いなく同一の噴火によるもの(同じ鍵層)であると断定できる。

(イ)地点Aの火山灰層の厚さは $30\text{cm}$ であり、地点Bの火山灰層の厚さは $10\text{cm}$ であった。なお、地点Bの火山灰層のすぐ上には基底れき岩が堆積していた。このことから、噴火当時は「地点Bよりも地点Aの方に、より多くの火山灰が降り積もった」と断定できる。

  1. (ア)正 (イ)正
  2. (ア)正 (イ)誤
  3. (ア)誤 (イ)正
  4. (ア)誤 (イ)誤
解答と解説を見る

【解答】 4

【解説】 どちらの文章も誤りです。これが共通テスト特有の「論理の飛躍(トラップ)」です。

(ア)について: 石英や斜長石は、地球上のマグマに極めて普遍的に含まれる鉱物です。「ありふれた共通点」があるからといって、同一の噴火だとは断定できません。同一であると証明するには、特殊な微量鉱物の一致や、火山ガラスの屈折率の一致など、「他との相違点(他の噴火とは違う独自の特徴)」を確認する必要があります。

(イ)について: 地点Bの火山灰層のすぐ上に「基底れき岩」があるということは、そこに不整合面(侵食された跡)が存在することを意味します。つまり、地点Bでは火山灰が降り積もった後、地殻変動で陸化し、火山灰層の上部が削り取られてしまった可能性が高いのです。したがって、現在の残っている厚さだけを見て「当時の降灰量はAの方が多かった」と断定することはできません。

3. 地質年代の区分(先カンブリア時代と顕生累代)

地球が誕生した約46億年前から現在までの歴史を、生物の進化や絶滅を基準にして区切ったものを地質年代と呼びます。大きく2つに分けられます。

4. 大量絶滅と地質時代の境界

古生代、中生代といった大きな時代の区切り(境界)は、地球規模の環境激変によって多くの生物が同時に死に絶えた大量絶滅(マス・エクステンション)のタイミングと一致しています。

深刻な分析をするコレクト コレクトの解析:地球史上の2大絶滅事件

① 古生代と中生代の境界(P-T境界 / 約2.5億年前)
地球の歴史上、最大規模の大量絶滅が起きました(海洋生物の90%以上が絶滅)。原因は、超大陸パンゲアの形成と、スーパープルームによる超巨大な火山活動(シベリア・トラップ)が引き起こした極端な地球温暖化や海洋の酸欠だと考えられています。ここで三葉虫やフズリナが完全に絶滅しました。

② 中生代と新生代の境界(K-Pg境界 / 約6600万年前)
直径約10kmの巨大隕石がメキシコのユカタン半島に衝突したことが原因です。衝突によるチリが太陽光を遮り、急激な寒冷化が起こりました。ここで恐竜(鳥類を除く)やアンモナイトが絶滅しました。この時代の地層からは、地球の表面にはほとんど存在しない隕石由来の元素(イリジウム)が異常な高濃度で検出されます。

5. 【発展】微化石とは?

地層の年代や環境を調べる上で、近年非常に重要視されているのが微化石(びかせき)です。

6. 【発展】放射性同位体と数値年代(絶対年代)

化石による「どちらが古いか」という相対年代に対し、「今から何万年前か」という具体的な数字を出す年代を数値年代(絶対年代)と呼びます。
これには、火成岩に含まれる放射性同位体の性質を利用します。国公立大の二次試験では、この計算問題が頻出です。

公式を扱うコレクト コレクトの公式解説:半減期(はんげんき)の計算

放射性同位体(親元素)は、一定の時間が経つと放射線を出しながら別の安定した元素(娘元素)に変化します。この「親元素の数が半分になるまでにかかる時間」を半減期と呼びます。半減期は、温度や圧力などの外部環境の影響を一切受けないため、正確な時計として機能します。

経過した半減期の回数を $n$、元の親元素の量を $N_0$、現在の親元素の量を $N$ とすると、以下の式が成り立ちます。

$$ N = N_0 \times \left(\frac{1}{2}\right)^n $$

例えば、親元素の量が最初の $1/8$ に減っていた場合、$(1/2) \times (1/2) \times (1/2) = 1/8$ なので、半減期が「3回」経過したことになります。もしその元素の半減期が「7億年」であれば、岩石ができてから $7億年 \times 3回 = 21億年$ が経過していると計算できます。

マルを出すちさまる ちさまるの総仕上げ! 練習問題

地質年代の区切りや、半減期の計算問題だ! ここをクリアすれば年代測定はマスターだよ!

問1(選択・標準)
次のうち、地質年代と、その時代を代表する示準化石の組み合わせとして誤っているものを1つ選べ。

  1. 古生代 ── 三葉虫
  2. 中生代 ── フズリナ
  3. 中生代 ── アンモナイト
  4. 新生代 ── ビカリア
教壇に立つコレクト コレクトからの挑戦状(国公立大 二次試験レベル)

問2(計算・発展:放射性同位体)
ある火成岩に含まれる鉱物を分析したところ、放射性同位体である親元素と、それが崩壊してできた娘元素の原子数の比が $1 : 7$ であった。
この親元素の半減期を $12.5億年$ としたとき、この火成岩がマグマから冷え固まってから何年が経過しているか求めよ。ただし、岩石が形成された時点では娘元素は全く含まれておらず、岩石形成後に外部との元素の出入りは一切なかったものとする。

問3(記述・標準)
中生代の終わりに起きた恐竜やアンモナイトの大量絶滅(K-Pg境界)の主な原因とされている出来事は何か。証拠となる物質名(元素名)を含めて60字程度で説明せよ。

練習問題の解答と解説

問1:ii
【解説】フズリナは古生代の示準化石です。古生代末期(P-T境界)の大量絶滅で三葉虫とともに完全に絶滅しました。中生代の海で繁栄したのはアンモナイトです。

問2:37.5億年
【解説】
この問題の最大の罠は「親と娘の比」です。
現在の 親:娘 が $1 : 7$ ということは、全体の原子数(親+娘)は $1 + 7 = 8$ です。
形成時はすべて親元素だったので、もともと親元素は「8」ありました。
それが現在「1」になっているため、残っている親元素の割合は $1/8$ です。
$1/8 = (1/2)^3$ なので、半減期が「3回」経過しています。
したがって、年齢は $12.5億年 \times 3回 = \mathbf{37.5億年}$ となります。

問3:解答例
巨大隕石の衝突による気候の急激な寒冷化が原因であり、その証拠として地層から隕石由来のイリジウムが異常な高濃度で検出される。(61字)
【解説】K-Pg境界の大量絶滅については、「隕石衝突」と「イリジウム(Ir)異常」をセットで覚えるのが鉄則です。イリジウムは地球の地殻にはほとんど存在せず、隕石や地球の深部(核)に多く含まれる重金属です。