地学基礎⑥:火成岩と鉱物(物質の性質と分類)
ちさまる
道端に落ちている石や、河原の石をよーく観察すると、白や黒のキラキラした粒がたくさん集まっているのが見えるよね。
これらはマグマが冷えて固まった「火成岩」と、その成分である「鉱物」なんだ!
マグマの冷え方や成分によって、どんなふうに岩石の姿が変わるのか。共通テストでも二次試験でも必須の「岩石の分類」をマスターしよう! PON!
1. 火成岩の鉱物と結晶構造
マグマが冷え固まってできた岩石を火成岩と呼びます。火成岩は、数種類の造岩鉱物(岩石を構成する主な鉱物)が集まってできています。
造岩鉱物の主成分は、酸素(O)とケイ素(Si)です。これらが結びついたSiO₄四面体(1つのケイ素の周りを4つの酸素が囲むピラミッド型構造)が基本単位となり、これらが鎖状や網目状に連なることで、多様な結晶構造とへき開(特定の方向に割れやすい性質)を生み出します。
2. 苦鉄質鉱物と珪長質鉱物
造岩鉱物は、含まれる成分(鉄やマグネシウムの有無)によって、大きく有色鉱物と無色鉱物の2つのグループに分けられます。
| 分類 | 主な鉱物名 | 特徴とへき開 |
|---|---|---|
| 苦鉄質鉱物 (有色鉱物) 鉄(Fe)やマグネシウム(Mg)を多く含み、黒や緑などの濃い色をしている。 |
かんらん石 | 黄緑色でガラス光沢。へき開はない(不規則に割れる)。マントルの主成分。 |
| 輝石(きせき) | 暗緑色〜黒色。短い柱状で、へき開は直交する2方向。 | |
| 角閃石(かくせんせき) | 黒色〜暗緑色。細長い柱状で、へき開は斜めに交わる2方向。 | |
| 黒雲母(くろうんも) | 黒色。へき開が1方向に極めて発達しており、薄く紙のように剥がれる。 | |
| 珪長質鉱物 (無色鉱物) 鉄やマグネシウムを含まず、ケイ素やアルミニウムに富む。無色や白色。 |
長石(ちょうせき) (斜長石・カリ長石) |
白色や灰色。地殻に最も多く含まれる鉱物。2方向に明瞭なへき開がある。 |
| 石英(せきえい) | 無色透明〜白色。ガラス光沢。へき開はない。不規則な割れ方(貝殻状断口)をする。 |
3. 【発展】鉱物の固溶体(こようたい)
コレクトのミクロ解説:固溶体とは
鉱物の中には、結晶の骨格(構造)は同じままで、内部の一部の原子が別の原子と連続的に入れ替わるものがあります。これを固溶体と呼びます。
代表的なものが斜長石とかんらん石です。(国公立大 二次試験でよく問われます)
- 斜長石の固溶体: カルシウム(Ca)に富む「灰長石」と、ナトリウム(Na)に富む「曹長石」の間で、成分が連続的に変化します。マグマが高温のうちはCaに富む斜長石が晶出し、温度が下がるにつれてNaに富む斜長石が晶出します。
- かんらん石の固溶体: マグネシウム(Mg)と鉄(Fe)の割合が連続的に変化します。
4. 火山岩と深成岩(冷え方による分類)
火成岩は、マグマが「どこで・どれくらいの時間をかけて」冷え固まったかによって、岩石の見た目(組織)が全く異なる2つの種類に分類されます。これは共通テストで必ず出題される重要ポイントです。
- 火山岩(かざんがん):
マグマが地表や地表付近で急激に冷え固まってできた岩石。
冷えるのが速いため、結晶が大きく育つ時間がありません。その結果、比較的大きな結晶である斑晶(はんしょう)と、ガラス質や細かい粒の集まりである石基(せっき)からなる斑状組織(はんじょうそしき)を示します。 - 深成岩(しんせいがん):
マグマが地下深くでゆっくりと時間をかけて冷え固まってできた岩石。
すべての鉱物が十分に成長する時間があるため、石基が存在せず、肉眼で見えるほどの大きな結晶が互いに組み合わさった等粒状組織(とうりゅうじょうそしき)を示します。(例:墓石などに使われる御影石=花崗岩)
コレクトの構造解説:火成岩体の形態(2024年共通テスト出題)
地下のマグマが冷え固まった巨大な岩石の塊を火成岩体(かせいがんたい)と呼びます。マグマが地層の隙間にどのように入り込んだか(産状)によって、名称が変わります。
- 岩脈(がんみゃく): 地層の面を横切って(垂直や斜めに)板状に貫入したもの。
- 岩床(がんしょう): 地層の面に平行に板状に貫入したもの。
- 底盤(バソリス): 地下深部で極めて大規模なドーム状に固まった深成岩体。主に花崗岩からなり、のちの地殻変動で隆起すると巨大な山脈を形成します。
5. 火成岩の分類(成分と組織によるマトリックス)
火成岩は、「冷え方(組織)」と「マグマの成分(SiO₂の割合=色の濃さ)」の組み合わせによって、名前が決定されます。この表は完璧に覚える必要があります。
| SiO₂の割合 | 多い(約70%以上) | 中程度(約60%) | 少ない(約50%) | 極めて少ない(約45%未満) |
|---|---|---|---|---|
| 岩石の色 / 性質 | 白っぽい(珪長質) | 中間 | 黒っぽい(苦鉄質) | 超苦鉄質 |
| 火山岩 (斑状組織・急冷) |
流紋岩 (りゅうもんがん) |
安山岩 (あんざんがん) |
玄武岩 (げんぶがん) |
(地表にはほぼ存在しない) |
| 深成岩 (等粒状組織・徐冷) |
花崗岩 (かこうがん) |
閃緑岩 (せんりょくがん) |
斑れい岩 (はんれいがん) |
かんらん岩 (マントルの主成分) |
※覚え方の定番語呂合わせ:
「新(深成岩)幹(花崗岩)線(閃緑岩)は(斑れい岩)、か(火山岩)り(流紋岩)あ(安山岩)げ(玄武岩)」
6. 結晶の晶出(ボーエンの反応系列)
ドロドロに溶けた高温のマグマが冷えていくとき、すべての鉱物が一斉に結晶になる(晶出する)わけではありません。融点の高い鉱物から順番に晶出していきます。
この晶出の順序をまとめたものをボーエンの反応系列と呼び、共通テスト・二次試験ともに頻出です。
コレクトの授業:マグマが冷えるときのドラマ
マグマの温度が下がるにつれて、以下の順序で鉱物が晶出します。
- 高温期(約1200℃): まず、鉄やマグネシウムを多く含むかんらん石や、Caに富む斜長石が晶出します。(これが集まると玄武岩や斑れい岩になります)。
- 中温期: 次に輝石、続いて角閃石が晶出します。斜長石は徐々にNa成分の割合が増えていきます。
- 低温期: 最後に黒雲母が晶出し、マグマに残った成分(主にSiO₂とK)から、石英やカリ長石が晶出します。(これが集まると流紋岩や花崗岩になります)。
高温で晶出する鉱物ほど風化に弱く、地表ではすぐにボロボロになりやすいという特徴もあります。
ちさまると挑戦! 岩石と鉱物を見極めよう
ちさまる
よし、学んだ知識を組み合わせて問題を解いてみよう! 岩石の組織から冷え方を推理したり、色から成分を推理する探偵みたいな問題がよく出るんだ。PON!
【例題1】火成岩の産状と組織(共通テスト頻出)
ある火成岩をルーペで観察したところ、肉眼では粒の形が判別できない細かなガラス質の隙間(石基)の中に、長石や輝石の比較的大きな結晶(斑晶)が散らばっている組織が見られた。岩石全体の色はやや白っぽかった。
この岩石の名称と、その形成過程の組み合わせとして、最も適当なものを1つ選べ。
- 花崗岩 ── マグマが地下深くでゆっくりと冷え固まった。
- 玄武岩 ── マグマが地表付近で急激に冷え固まった。
- 安山岩 ── マグマが地下深くでゆっくりと冷え固まった。
- 流紋岩 ── マグマが地表付近で急激に冷え固まった。
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【解答】 4
【解説】
1. 組織の判定:斑晶と石基からなる組織を斑状組織といいます。これはマグマが地表付近で急冷したことを示しており、火山岩であることがわかります。
2. 岩石の色からの判定:色が「白っぽい」ということは、SiO₂が多く、無色鉱物(石英や長石)の割合が多いことを示します。火山岩の中で白っぽいものは流紋岩です。
(玄武岩は火山岩ですが黒っぽく、花崗岩は白っぽいですが深成岩であるため等粒状組織を示します)。したがって正解は4です。
【例題2】鉱物の特徴と晶出(国公立大 二次試験レベル)
マグマから晶出する造岩鉱物に関する記述として、誤っているものを次のうちから1つ選べ。
- 石英はSiO₂のみからなり、へき開を持たないため、ハンマーで叩くと不規則な貝殻状の断口を示す。
- 黒雲母は、1方向に極めて完全なへき開を持ち、薄く剥がれる特徴がある。
- マグマが冷却される過程において、石英やカリ長石は、かんらん石や輝石よりも高い温度で早期に晶出する。
- 斜長石はカルシウムとナトリウムの割合が連続的に変化する固溶体であり、火成岩に最も広く含まれる。
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【解答】 3
【解説】
ボーエンの反応系列の知識を問う問題です。マグマが冷却されるとき、高温で最初に晶出するのは「かんらん石」やCaに富む「斜長石」などの苦鉄質成分です。温度が下がり、マグマの残液にSiO₂が濃集した冷却の最終段階(低温)になって初めて「石英」や「カリ長石」が晶出します。したがって、3の順序は逆です。
【例題3】火山地形と変成作用(2026年 共通テスト類題)
火山活動やマグマに関連する以下の文(ア)と(イ)の正誤の組み合わせとして、正しいものを選べ。
(ア) 大規模な爆発的噴火によってマグマだまりが空洞になり、その上部の山体が陥没してできた巨大な凹地をカルデラと呼び、その噴火の際には広範囲に火山砕屑物が堆積することが多い。
(イ) 石灰岩の地層に高温のマグマが貫入すると、熱による接触変成作用を受け、元の岩石に含まれていた石英が再結晶化して、結晶質石灰岩(大理石)へと変化する。
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【解答】 (ア)正 (イ)誤
【解説】
(ア)は正しい記述です。カルデラは陥没地形であり、その際に出た大量の軽石や火山灰(溶岩流ではない火山砕屑物)が周辺に厚く堆積します。
(イ)は共通テスト特有の引っかけです。接触変成作用で結晶質石灰岩(大理石)ができるのは正しいですが、石灰岩の主成分は石英ではなく「方解石(炭酸カルシウム)」です。方解石が熱で再結晶化してモザイク状の大きな粒になったものが大理石です。2026年の共通テストではこの「方解石」という鉱物名がピンポイントで問われました。
ちさまるの総仕上げ! 練習問題
火成岩と、前回やった「変成岩」の違いもちゃんと理解できているかな? 知識を総動員して挑戦だ!
問1(選択・基本)
造岩鉱物のへき開に関する記述として正しい組み合わせを1つ選べ。
- 石英:2方向に割れる かんらん石:1方向に割れる
- 角閃石:2方向に割れる 黒雲母:1方向に極めて薄く割れる
- 長石:へき開はない 輝石:3方向に割れる
- 黒雲母:へき開はない 石英:不規則に割れる
コレクトからの挑戦状(国公立大 二次試験レベル)
問2(記述・標準)
玄武岩と斑れい岩は、どちらも黒っぽい色をしており、含まれる造岩鉱物の種類もほぼ同じ(輝石、斜長石、かんらん石など)である。それにもかかわらず、岩石の名称が異なるのはなぜか。両者の「形成された場所」と「岩石の組織」の違いに触れながら、60字以内で説明せよ。
問3(正誤判定・復習)
次の文章の正誤を判定せよ。
「花崗岩はマグマが地下深くでゆっくり冷えてできた深成岩であり、等粒状組織を示す。一方、片麻岩は既存の岩石が地下深くでマグマによる急激な加熱を受け、溶融してできた岩石であるため、白黒の縞模様(片麻状組織)を示す。」
練習問題の解答と解説
問1:ii
【解説】黒雲母の「1方向に極めて薄く割れる」性質は超頻出です。また、角閃石や輝石、長石は2方向のへき開を持ちます。石英とかんらん石はへき開を持ちません(割れ口は不規則)。
問2:解答例
玄武岩はマグマが地表付近で急冷されたため斑状組織を示し、斑れい岩は地下深くでゆっくり冷えたため等粒状組織を示すから。(58字)
【解説】火成岩の分類表の「縦軸(冷え方)」の違いを記述する問題です。成分(横軸)が同じでも、冷え方によって組織が変わり、岩石の名前も変わります。
問3:誤り
【解説】前半の花崗岩の記述は正しいですが、後半の「片麻岩」の記述が誤りです。片麻岩は広域変成作用(高温・高圧)によってできた「変成岩」であり、マグマによって「溶融(ドロドロに溶けること)」はしていません。固体のまま組織が変化して縞模様ができた岩石です。また、マグマの熱のみによる接触変成作用でできるのはホルンフェルスや大理石です。