地学基礎⑧:堆積作用と堆積岩
ちさまる
地球の表面にある岩石は、雨や風、川の流れによって少しずつ削られていくんだね。削られた砂や泥が、長い長い時間をかけて海の底に積み重なり、やがて新しい岩石に生まれ変わる…まるで地球のリサイクル!
今日は「堆積(たいせき)」のプロセスと、共通テストでよく狙われる「粒の大きさと川の流れ」の関係、そして身近な「土砂災害」まで、幅広く探究していくよ! PON!
1. 堆積の過程と「流速と粒径」の関係
地表に露出した岩石が、太陽の熱や水、空気の働きによってボロボロに崩れることを風化(ふうか)といいます。風化して脆くなった岩石は、川の水や氷河、風によって削り取られ(侵食)、下流へと運ばれ(運搬)、やがて流れが緩やかな海底や湖底に積もります(堆積)。
【重要】流速と粒径の関係(ユルストローム図の理解)
川の水が砂や泥を「侵食」「運搬」「堆積」させる力は、流速(水の流れる速さ)と粒径(粒の大きさ)によって決まります。これは国公立大の二次試験で頻出のテーマです。
コレクトのデータ解析:粒径と流速のパラドックス
粒が大きい「れき(礫)」は重いため、運ぶのにも削り取るのにも大きな流速が必要です。流速が落ちるとすぐに沈んで堆積します。
しかし、粒が非常に小さい「泥(粘土)」には、グラフ上で特殊な性質が見られます。
- 運搬と堆積: 粒が軽いため、一度水中に舞い上がると、流速が極めて遅くなっても沈まずに運ばれ続けます。
- 侵食(削り取る力): 一度底に沈んで堆積した泥は、粒同士が強くくっつき合う凝集力(ぎょうしゅうりょく)を持つため、再び削り取って巻き上げるためには、砂を削り取るよりもずっと大きな流速(強い力)が必要になります。
「粒が小さい泥の方が、砂よりも削り取りにくい」という一見矛盾したこの事実は、入試の正誤問題や記述問題で非常によく狙われます。
2. 陸上・海底での堆積作用と堆積構造
運ばれた砕屑物(れき、砂、泥など)は、堆積する場所によって特有の地形や構造を作ります。
陸上・浅海での堆積(分級作用)
川が山地から平野に出る場所では、流速が急に落ちるため、粗い粒が堆積して扇状地(せんじょうち)ができます。また、川が海に注ぐ河口付近では、さらに細かい砂や泥が堆積し、三角州(デルタ)が形成されます。
流水によって粒の大きさが揃えられていく働きを分級(ぶんきゅう)と呼びます。川の上流ほど粒が粗く角張っており、下流〜海に行くほど粒が細かく丸みを帯びていきます。
深海底での堆積と「乱泥流」
大陸棚の縁(大陸斜面)に溜まった大量の砂や泥が、地震などをきっかけに斜面を雪崩のように一気に流れ落ちることがあります。この泥水の流れを乱泥流(らんでいりゅう / 混濁水流)と呼びます。
コレクトの深海探査:級化層理(きゅうかそうり)
乱泥流が深海底の平坦な場所に達して流速が落ちると、重くて大きい粒(れき・砂)から先に沈み、後から軽くて細かい粒(泥)がゆっくり沈んで積もります。
その結果、1つの地層の中で「下部ほど粒が粗く、上部に行くほど粒が細かくなる」という構造ができます。これを級化層理(きゅうかそうり)と呼びます。
級化層理は、地層が過去にひっくり返っていないか(地層の上下判定)を調べるための極めて重要な手がかりとなります。(難関私大レベルで頻出)
3. 続成作用(ぞくせいさよう)と堆積岩の誕生
ただ砂や泥が積もっただけでは「岩石」とは呼べません。堆積物が長い時間をかけて硬い岩石に変わる過程を続成作用と呼びます。主に次の2つの働きがあります。
- 圧密(あつみつ)作用: 上にどんどん堆積物が重なることで、その重み(圧力)によって水分が絞り出され、粒と粒の隙間が圧縮されて小さくなります。
- 膠結(こうけつ)作用: 粒と粒の隙間に、地下水に溶けていた成分(炭酸カルシウムや二酸化ケイ素など)がセメントのように入り込んで沈殿し、粒同士をガチガチにくっつけます。
4. 堆積岩の分類
堆積岩は、その「材料」と「粒の大きさ」によって分類されます。共通テストで必ず出題される超重要項目です。
| 分類 | 岩石名 | 特徴・基準 |
|---|---|---|
| 砕屑岩 (さいせつがん) 既存の岩石の破片(れき・砂・泥)が固まったもの。粒の大きさで分類。 |
れき岩 | 粒径が $2\text{mm}$ 以上 の粒(れき)を多く含む。 |
| 砂岩(さがん) | 粒径が $1/16\text{mm}$ 〜 $2\text{mm}$ の粒(砂)を多く含む。 | |
| 泥岩(でいがん) ※薄く割れるものを頁岩(けつがん)と呼ぶ |
粒径が $1/16\text{mm}$ 未満 の細かい粒(泥・粘土)からなる。沖合の静かな環境で堆積。 | |
| 火山砕屑岩 | 凝灰岩(ぎょうかいがん) | 火山灰や軽石など、火山からの噴出物が固まったもの。離れた地層を比較するためのかぎ層(鍵層)として極めて重要。 |
| 生物岩・化学岩 生物の遺骸や、水に溶けた成分が沈殿して固まったもの。成分で分類。 |
石灰岩(せっかいがん) | 主成分は炭酸カルシウム(CaCO₃)。サンゴやフズリナ、有孔虫の遺骸などからできる。 ※塩酸をかけると二酸化炭素の泡を出して溶ける。ナイフで傷がつく柔らかさ。 |
| チャート | 主成分は二酸化ケイ素(SiO₂)。放散虫やケイ藻の遺骸などからできる。 ※塩酸をかけても発泡しない。非常に硬く、釘やガラスに傷をつけられる。 |
5. 土砂災害とその対策
風化が進んで脆くなった岩石や、大雨によって水分を大量に含んだ堆積物は、重力に耐えきれずに崩れ落ち、深刻な土砂災害を引き起こします。防災の観点から、それぞれの特徴を知っておきましょう。
ちさまるの防災チェック!
土砂災害には大きく分けて3つのタイプがあるよ!
- がけ崩れ(急傾斜地崩壊): 急な斜面が、雨水や地震の影響で突然崩れ落ちる現象。スピードが速いため、逃げ遅れる危険性が非常に高いんだ。
- 土石流: 谷や川にたまった大量の土砂や石が、大雨の水と一緒に一気に流れ下る現象。時速数十kmに達し、破壊力は絶大!
- 地すべり: 緩やかな斜面で、地下の特定の地層(粘土層など、水を含んで滑りやすくなった層)を境にして、地面が広範囲にわたってゆっくりと滑り落ちる現象。
自分の住んでいる場所が土砂災害警戒区域に入っていないか、ハザードマップを必ず確認して、大雨のときは早めの避難(明るいうちの避難)を心がけよう!
ちさまると挑戦! 堆積作用と堆積岩
ちさまる
さあ、学んだ知識をテストしてみよう! グラフの読み取りや、岩石を見分ける実験の問題は、入試の鉄板だよ!
【例題1】流速と粒径の関係(国公立大 二次試験レベル)
河川における流速と、海底や川底の堆積物の「侵食・運搬・堆積」の関係を示したグラフ(ユルストローム図)について、次の文章の空欄( ア )と( イ )に入る語句の組み合わせとして最も適当なものを選べ。
「河床に堆積している粒を削り取って移動させる(侵食する)ために必要な流速は、粒径が $0.1\text{mm}$ 程度の( ア )において最も小さくなる。それより粒が小さく細かい( イ )になると、粒同士が強くくっつき合う凝集力が働くため、侵食するためにはかえって大きな流速が必要となる。」
- (ア)砂 (イ)泥
- (ア)泥 (イ)砂
- (ア)れき (イ)砂
- (ア)砂 (イ)れき
解答と解説を見る
【解答】 1
【解説】
粒径 $0.1\text{mm}$ 程度は「砂($1/16\text{mm} \sim 2\text{mm}$)」に該当します。砂は凝集力が弱く、最も弱い流速で巻き上げられ(侵食され)ます。一方、それより細かい「泥(粘土)」は、粒同士の静電気的な結びつき(凝集力)が強固に働くため、一度堆積して固まると、砂を巻き上げる以上の激しい濁流でなければ削り取ることができません。この「泥の侵食限界流速が大きい理由」は記述問題でも頻出です。
【例題2】堆積岩の識別(共通テスト頻出)
野外調査で採取した2つの岩石AとBがある。どちらも生物の遺骸などが海底に堆積してできた岩石であるが、以下の実験結果から、岩石AとBの名称の組み合わせとして最も適当なものを1つ選べ。
- 岩石A: 鉄の釘でこすっても傷がつかなかった。薄い塩酸をかけても変化はなかった。
- 岩石A: 鉄の釘でこすると簡単に削れて白い粉が出た。薄い塩酸をかけると、激しく泡を出して溶けた。
- 岩石A:チャート 岩石B:石灰岩
- 岩石A:石灰岩 岩石B:チャート
- 岩石A:凝灰岩 岩石B:チャート
- 岩石A:チャート 岩石B:凝灰岩
解答と解説を見る
【解答】 1
【解説】
岩石Aは、鉄の釘(硬度約4.5)より硬く、塩酸に反応しないことから、主成分が二酸化ケイ素(SiO₂/硬度7の石英と同じ)であるチャートと判定できます。
岩石Bは、釘より柔らかく、塩酸と反応して二酸化炭素の泡(発泡)を出したことから、主成分が炭酸カルシウム(CaCO₃)である石灰岩と判定できます。
※凝灰岩は火山灰が固まったものであり、塩酸での激しい発泡はしません。
ちさまるの総仕上げ! 練習問題
堆積のプロセスと地層の構造、言葉の意味をしっかり区別できているか、最終チェックだ!
問1(選択・基本)
砕屑岩(れき岩、砂岩、泥岩)の分類の基準となっているものは何か。最も適当なものを1つ選べ。
- 含まれる鉱物の種類
- 岩石の色
- 構成する粒の大きさ(粒径)
- 堆積した水深の深さ
問2(正誤判定・標準)
次の文章の正誤を判定せよ。
「大陸斜面で発生した乱泥流(混濁水流)によって海底に運ばれた堆積物は、流速が落ちるにつれて細かい泥から先に沈殿し、最後に粗いれきや砂が沈殿するため、1つの地層の中で上部ほど粒が粗くなる級化層理を形成する。」
コレクトからの挑戦状(国公立大 二次試験レベル)
問3(論述・発展)
河口や海底に運ばれたばかりの柔らかい砂や泥が、長い年月を経て硬い堆積岩(砂岩や泥岩など)へと変化していく一連の過程(続成作用)について、「圧密」と「膠結(こうけつ)」という2つの語句を用いて、60字以内で説明せよ。
練習問題の解答と解説
問1:iii
【解説】砕屑岩は、成分ではなく「粒の大きさ」だけで分類されます。$2\text{mm}$ 以上が「れき岩」、$1/16\text{mm} \sim 2\text{mm}$ が「砂岩」、$1/16\text{mm}$ 未満が「泥岩」です。
問2:誤り
【解説】沈殿する順番が逆です。水中で粒が沈むとき、重くて大きい粒(れきや粗い砂)が先に沈み、軽くて細かい粒(泥)が後からゆっくり沈みます。そのため、級化層理は「下部ほど粒が粗く、上部ほど粒が細かい」構造になります。(これが地層の上下判定に使われます)。
問3:解答例
上に重なる堆積物の重みで隙間が圧縮される圧密作用と、隙間に地下水中の成分が沈殿して粒同士を結合させる膠結作用が起こる。(59字)
【解説】続成作用の2大要素である「圧密(隙間が潰れる)」と「膠結(セメントのようにくっつく)」のメカニズムを簡潔にまとめる記述問題です。この過程を経て初めて、ただの砂が「砂岩」という硬い岩石になります。