地学基礎⑤:火山活動のメカニズムと分布
ちさまる
日本には富士山みたいな綺麗な山もあれば、ハワイみたいにドロドロの溶岩が流れる平べったい山もあるよね。
そもそも、地下でどうやって「マグマ」が生まれて、どうして地上に噴き出してくるんだろう?
今回は、火山の見た目の違いから、目に見えない地下深くのマグマ発生メカニズムまで、二次試験でも狙われるポイントを徹底解剖するよ! PON!
1. 火山噴火の仕組み
地下深くで発生したマグマは、周囲の岩石よりも密度が小さいため、浮力によって徐々に上昇し、地表から数km〜十数kmの深さにマグマだまりを作って一時的に留まります。
マグマがさらに上昇して地表に近づくと、周囲の岩石からの圧力が低下します。すると、マグマに溶け込んでいた水(水蒸気)や二酸化炭素などの火山ガスが溶けきれなくなり、気泡となって分離します(発泡)。
この気泡が急激に膨張することで体積が増し、その凄まじい圧力によってマグマが地表へ激しく噴き出します。これが火山噴火です。
コレクトの補足:炭酸飲料のモデル
この噴火のメカニズムは、よく「よく振った炭酸飲料の栓を抜く現象」に例えられます。
栓が閉まっている(高圧)状態では炭酸ガスは液体に溶け込んで見えませんが、栓を抜いた(減圧)瞬間に一気に気泡が発生し、液体ごと外へ吹き出します。国公立大の二次試験では、「マグマ中の揮発性成分(火山ガス)が減圧によって発泡し、体積が膨張するため」という論述が頻出です。
2. 噴火の仕方と火山地形(火山の形成)
火山の形や噴火の激しさは、マグマの粘り気(粘性)によって決定づけられます。そして、この粘性を決める最大の要因が、マグマに含まれる二酸化ケイ素(SiO₂)の割合と温度です。
| SiO₂の量 | 粘性(粘り気) 温度・色 |
噴火の仕方 | 火山地形(形状) | 代表的な火山 |
|---|---|---|---|---|
| 少ない (約50%) 玄武岩質 |
小さい(サラサラ) 温度:高い 色:黒っぽい |
ガスが抜けやすく、 穏やかに溶岩が流出する。 |
楯状火山 (傾斜が緩やかな盾の形) |
マウナロア(ハワイ) 三原山(伊豆大島) |
| 中程度 (約60%) 安山岩質 |
中程度 | 溶岩の流出と、火山灰などを 吹き飛ばす爆発を繰り返す。 |
成層火山 (円錐形の美しい山容) |
富士山 桜島、浅間山 |
| 多い (約70%) 流紋岩質 デイサイト質 |
大きい(ドロドロ) 温度:低い 色:白っぽい |
ガスが抜けにくく圧力が溜まり、 激しく爆発する。火砕流が発生しやすい。 |
溶岩ドーム(鐘状火山) (お椀を伏せたような形) |
昭和新山 雲仙普賢岳 |
3. マグマの発生と、火山ができる場所
共通テストや高卒認定試験などで非常によく出る引っかけが、「地下深くのマントルは、ドロドロのマグマである」というものです。
これは明確な誤りです。マントルはかんらん岩という固体の岩石でできています。
では、普段は固体のマントルが、なぜ特定の場所でだけ溶けて(部分融解して)マグマになるのでしょうか?
【発展】マグマの生成メカニズム(融解の3条件)
物質が溶ける(液体になる)ためには、いくつかの条件が必要です。地球内部でマントルが溶けてマグマが発生する条件は、大きく分けて次の3つしかありません。(国公立大 二次試験頻出)
- 温度が上がる(加熱される)
マントル深部から異常に熱い上昇流(ホットプルーム)が湧き上がってくる場所です。ホットスポット(ハワイなど)のマグマはこれによって発生します。 - 圧力が下がる(減圧される)
マントルは深く圧力が高いため固体でいられますが、プレートが左右に引っ張られて裂け目ができると、マントルが浅い場所へ上昇して圧力が下がります。すると、温度は変わらなくても融点(溶ける温度)が下がり、マグマが発生します。これは海嶺(発散境界)で起こります。 - 水が加わる(融点降下)
沈み込む海洋プレートが地下深くに引きずり込まれると、プレート内の含水鉱物から水(H₂O)が絞り出されます。この水が上のマントル(ウェッジマントル)に加わると、マントルの融点(溶ける温度)が劇的に下がり、周囲の熱で溶け出します。これは海溝(沈み込み帯)で起こり、日本のマグマの大部分はこのメカニズムで作られます。
4. 火山の分布と「火山フロント」
上記のマグマ発生メカニズムから分かるように、火山は地球上のどこにでもあるわけではなく、「海溝」「海嶺」「ホットスポット」に集中して分布しています。
コレクトの地理解析:火山フロント(火山前線)
日本列島のように海洋プレートが沈み込む場所では、火山は海溝に平行に帯状に分布します(島弧・弧状列島)。しかし、地図をよく見ると、海溝のすぐ近く(太平洋岸など)には火山が全く存在しないことに気づきます。
海溝から大陸側へ一定距離進んだところで、突然火山が分布し始めます。この「火山が分布する海溝側の限界線」を火山フロント(火山前線)と呼びます。
【なぜ火山フロントができるのか?】
沈み込んだ海洋プレートから水が絞り出され、マントルの部分融解(マグマの発生)が始まるためには、ある程度の高い温度・圧力が必要です。プレートがその深さ(約100〜150km)に到達するころには、海溝から水平方向に100km〜300kmほど離れてしまっているため、そこからマグマが真上に上昇してくる地表のラインが、火山フロントとして現れるのです。
ちさまると挑戦! マグマと火山の思考問題
ちさまる
火山の形とマグマの性質を結びつける問題は、共通テストで必ずと言っていいほど出るよ! 丸暗記じゃなくて、理屈で繋げて考えよう!
【例題1】マグマの性質と火山地形(共通テスト頻出)
マグマの性質と火山の特徴について述べた次の文章のうち、誤っているものを1つ選べ。
- マグマに含まれる二酸化ケイ素(SiO₂)の割合が多いほど、マグマの粘性は大きくなる。
- 玄武岩質マグマは粘性が小さく流動しやすいため、ハワイのマウナロアのような傾斜の緩やかな楯状火山を形成しやすい。
- 流紋岩質(デイサイト質)マグマは粘性が極めて大きく、ガスが抜けにくいため、穏やかな溶岩の流出を繰り返して成層火山を形成する。
- 雲仙普賢岳の山頂付近に見られるドーム状の地形(溶岩ドーム)は、粘性の大きなマグマが火口から押し出されて固まったものである。
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【解答】 3
【解説】
流紋岩質マグマは粘性が極めて大きく(ドロドロ)、火山ガスが抜けにくいため内部の圧力が異常に高まり、激しい爆発的噴火を起こしやすいのが特徴です。その結果、火砕流などが発生し、火口付近には盛り上がった溶岩ドームが形成されます。「穏やかな溶岩の流出」というのは玄武岩質マグマの特徴です。なお、富士山などの「成層火山」は、粘性が中程度の安山岩質マグマによって形成されます。
【例題2】火山フロントとマグマの発生(国公立大 二次試験レベル)
日本列島の太平洋側には、海溝とほぼ平行に「火山フロント(火山前線)」が走っており、これより海溝側(東側)には火山が存在しない。海溝のすぐ近くに火山が存在しない理由を、沈み込む海洋プレートとマグマの発生条件の観点から説明せよ。
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【解答のポイント】
・沈み込むプレートから水が供給されることがマグマ発生の条件であること。
・その脱水反応が起こるためには、プレートが一定の深さ(約100km〜150km)まで沈み込む必要があること。
・その深さに達する場所の真上が、海溝から離れた火山フロントに該当すること。
【模範解答例】
マグマは、沈み込む海洋プレートから水が供給され、マントルの融点が下がることで発生する。海溝付近ではプレートの深度が浅く脱水反応が起きないためマグマが発生せず、プレートが一定の深さに達する火山フロント以西でのみマグマが発生して上昇するため。(117字)
ちさまるの総仕上げ! 練習問題
マグマの発生条件は、単なる暗記じゃなくて「3つのパターンのどれに当てはまるか」を見極めるのが大事だよ!
問1(選択・標準)
地球内部においてマグマが発生する主な原因として、誤っているものを1つ選べ。
- 海嶺の地下において、マントル物質が上昇することに伴い圧力が低下し、融点が下がるため。
- 沈み込み帯において、海洋プレートから水が供給され、周囲のマントルの融点が下がるため。
- 外核からの熱によって、マントル下部から高温のホットプルームが上昇し、周囲の温度が上がるため。
- 大陸地殻の地下深くにおいて、花崗岩中の放射性同位体が大量の熱を一気に放出し、地殻そのものを広範囲に溶かすため。
コレクトからの挑戦状(思考力問題)
問2(正誤判定)
次の文章の正誤を判定せよ。
「日本列島における火山の分布を見ると、火山フロントから日本海側(大陸側)に向かって遠ざかるほど、マグマを発生させる震源(深発地震面)の深さは浅くなっていく。」
練習問題の解答と解説
問1:iv
【解説】マグマの発生メカニズムは主に「温度上昇(ホットスポット)」「圧力低下(海嶺)」「水による融点降下(海溝)」の3つです。ivの「地殻内の放射性同位体が一気に広範囲を溶かす」という現象は通常起こりません。マグマの主要な供給源はあくまでマントル(または下部地殻の一部)の部分融解です。
問2:誤り
【解説】日本列島の下には太平洋プレートやフィリピン海プレートが「斜め下」に向かって沈み込んでいます。したがって、海溝や火山フロントから日本海側(西側)へ向かって進むほど、沈み込んでいるプレート(深発地震面=和達・ベニオフ帯)の深さは深くなっていきます。(「浅くなっていく」という部分が誤りです)。